| このページは 2007年 09月 13日 16時13分06秒に巡回更新されました。 |
[引用サイト] http://www.env.go.jp/nature/nco/kinki/kushimoto/ima2.htm
|
1971年イランのカスピ海沿岸の町ラムサールで、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択されました。これがラムサール条約で、現在世界147カ国が加入しています。 この条約では、水鳥だけでなく、私たちにとっても重要な環境である湿地を保全し、さらに賢明な利用を提唱しています。また、この条約では、湿原や湖沼だけでなくマングローブ林、藻場あるいはサンゴ礁域なども対象とされています。 「串本沿岸海域」は、サンゴの種の多様性、被度が高く、熱帯魚類をはじめ多くのサンゴ礁性動物が見られます。北緯33度30分という北にありながら、熱帯性生物群集が豊富にみられる貴重な場所であることから、ラムサール条約湿地に登録されました。 巻貝の中にアクキガイ科というのがあります。漢字で悪鬼貝と書きます。どうしてこのような名が付いたかというと、この仲間は動物を襲って食べる恐ろしい貝だからです。とはいっても、アクキガイ科の巻貝が大型というわけではなく、ほとんどの種が1〜3pの小型の巻貝です。 アクキガイ類のそれぞれの種はある定まった動物を餌にしていますが、その中にイシサンゴ類を専門に餌にする種があります。串本海中公園周辺海域にもサンゴ食のアクキガイ類が5種ほどいますが。その中で最も多産するのはヒメシロレイシガイダマシという1p強の大きさの巻貝です。この貝は10年ほど前から、九州以北の南日本のサンゴ群集地で突然増え始め、宮崎県や高知県のイシサンゴの高密度分布地をほとんど全滅させた巻貝なのです。 一匹の貝は小さいのですが、異常に多くの数にものをいわせて、サンゴを食い尽くすのです。貝は日中はサンゴの間などのすき間に潜んでいて、夜間這い出して、サンゴを食害します。ですから、昼間海中をのぞいても、それほど多くの貝がいるようには見えないのです。またこの貝はほぼ年中産卵を行います。ですからサンゴのすき間におびただしい数の白い卵嚢が見られます。各々の卵嚢には数百の卵が入っています。これらの卵から発生した幼生が卵嚢を抜け出して、小さな貝に変態するのです。 串本の海にも、4〜5年前からこのヒメシロレイシガイダマシが殖えてきて、1999年にはついに、真っ白いサンゴの食害域があちこちで非常に拡大し、このまま放置すれば、串本海中公園のテーブルサンゴも全滅する気配でした。そこで2000年に入って、串本海中公園センターのスタッフと、呼びかけに応じてくれた多くのボランティアとが、何度かこのヒメシロレイシガイダマシの駆除を行いました。この貝も、またその卵塊も、サンゴのすき間の奥に多くいるので、駆除をしてもなかなか完全な効果が期待できません。そこで我々はこれからもずっと、この小さな巻貝との戦いを覚悟しなければならないと思っています。 ヒメシロレイシガイダマシがどれほど殖えているか、どこの海域で殖えているかなどといった基礎的なデータを集め、現況を正しく知るために、頻繁にモニターしなければなりません。そして、駆除の必要が生じた場合には、また皆様のボランティア活動の援助を頼みたいと思っていますので、その折は宜しくご協力のほどお願いします。 串本で異常発生が見つかったのは1999年10月で、翌2000年に串本町内全域のサンゴ並びにサンゴ食巻貝の分布状況を調査しました。この結果を基に貝駆除を実施すると共に2001年からは2ヶ月に1回調査を実施し食害状況をチェックしています。駆除作業は2000年までは多量の成貝と卵を採取することによるイシサンゴへの食害と新規加入貝の減少を目的に食害の甚大な箇所において実施、2001年以降は取り残した甚大な箇所及びその周辺と小規模集団をターゲットに、毎週1回駆除を行っています。 これまでに605人が参加し、約411sの貝が駆除されました。1人当たりの駆除重量は、初期の頃は平均1.4sでしたが、2002年3月には0.59sに減っています。イシサンゴの被害状況は、2000年5月から2001年8月にかけては食害によるサンゴ被度の低下がうかがえましたが、それ以後2002年3月にかけてはサンゴ被度の低下はあまり見られないばかりか、場所によってはやや回復の兆しも見られています。 ゴミは海の生態系を攪乱するばかりでなく、美しい海を保とうとしたり、美しい海を訪れようとして、串本に来た人の期待を裏切り、この点でも、浅海および海岸の景観にとってゴミは大いなるマイナスです。ゴミと生態系については、最近のゴミの中には人造物が多く、プラスチックやビニールなどは、何年たっても分解されることなく、半永久的にゴミとして海に残りますので、問題は一層深刻です。 しかしわが国でも、環境問題に対する意識が高まり、それに伴ってか、あるいはバブルがはじけて、経済活動が低迷しているのも関係するのか、一時よりも海岸に漂着するゴミの量は減ってきているようです。また一時非常に多かった漂着タールも、串本の海岸からほぼ姿を消したようです。 しかし、串本海中公園ばかりでなく、現在のようなゴミの生産活動を続けていれば、わが国の全海域で、やがて海へのインパクトが大きくなるのは必定です。ですから、我々の生活から出るゴミが、やがて海の環境に悪影響を与えることを認識し、日常生活でのゴミを減らす努力を私達が実行することが海を守るためには大切なのではないでしょうか。 |